摂食障害情報センター

『巨食症の明けない夜明け』

集英社 松本侑子著

 

摂食障害を題材にした小説といえば、やっぱりコレ!
第11回すばる文学賞を受賞した小説です。

 

主人公の時子は、21歳の大学生。
摂食障害で、物を食べ続けることでしか心の安定を得られないという設定。

 

時子が摂食障害になってしまった根底には、
幼い頃に母に捨てられた過去や恋人との別れなど、
精神的にショックの大きい出来事があります。

 

誰にも頼ることができず、甘えられない彼女の孤独感が、
摂食障害という形で表れてしまったのです。

 

つらい過去の傷と、
「キレイでいたい」という心理が彼女をどんどん追い詰めていき、
食べては吐き、全てを吐き出したことに安心するという悪循環。

 

淡々と、思いついたままに書かれたような散文体の文章が、
かえって心にしみる小説です。

 

鳥の卵を食べてしまった後に初潮を迎える・・・というシーンも、妙にリアル。

 

摂食障害を患った方に限らず、女性なら誰もが
「わかる、分かる〜」と共感できる小説だと思いますよ☆

『鏡の中の少女』

集英社 スティーブン レベンクロン 著者 
菊池 幸子 訳者 森川 那智子 訳者

 

この小説の主人公は、
ニューヨークのマンハッタンに住む15歳のフランチェスカ。

 

彼女はある日、ダンススタジオの鏡に映った自分の姿に
「なんてデブなの!デブはみにくい。もっと痩せて身体を引き締めなきゃ」
と幻滅し、過激なダイエットを開始します。

 

一見、若い女性にありがちな“体型を気にした”ダイエットのように見えますが、
その本当の理由は彼女の心の奥底に潜む
「両親の興味を引きたい」という気持ち。

 

やがてフランチェスカは、摂食障害(拒食症)になってしまいます。

 

フランチェスカの病気を通して、摂食障害という病気の複雑さや難しさ、
家族が持つ影響力の大きさ、
親と子の関係などを改めて考えさせられる小説です。

 

家族だけではなく
医師やカウンセラーといった立場での苦悩についても描かれていますので、
臨床系の就職を希望している人は一読の価値があるのではないでしょうか。

 

ダイエットを始める前に自分に新しい名前を付けたり、
身体がボロボロになりながらも
「自分の意思が弱くなったんだ」
…と自分を責めたりするフランチェスカの痛々しい姿は、
同じ10代の娘さんを持つ親御さんにとっては他人事とは思えないはずですよ…。

 

「それでも吐き続けた私」―過食症を克服した29歳の記録

講談社 冨田 香里 著

 

小説というよりは、エッセイに近い一冊です。
実際に10年間過食嘔吐を繰り返した作者が、
摂食障害を克服するまでを描いた記録。

 

親子関係が摂食障害に与える影響や、
優等生特有のストレスなどがリアルに描かれています。

 

冒頭から度肝を抜かれたのが、著者の母親が放った一言。
太っていることを気にしていた中学生の娘に対して、
じゃあ、吐けばいいじゃない。 お母さんもそうしてるから
・・・って・・・。

 

衝撃的ですよね。。

 

それから彼女の日課になってしまった過食嘔吐は、高校、大学、
就職してからも続いていたと言います。

 

最終的には、彼女は会社も辞めて治療に専念。
自助グループ に参加したり、 カウンセリング を受けたり、
父親と再会したり、 ハリ治療や、ハワイでのイルカツアーに参加したり・・・。

 

ニュージーランドでの全裸生活も体験したんだそうですよ(笑)。

 

結婚もしますが、共依存 状態になって離婚。

 

それでも前を向いて自分と向き合い続けた著者は、
アメリカでのサイコドラマがきかっけで摂食障害を克服します。

 

カテゴリー的には小説よりもエッセイなのですが、
著者の豊かな表現力が随所で生かされているのが◎。

 

例えば、エクスプレッシブ・アーツ・セラピー という芸術療法を受けた時の
繊細かつ瑞々しい筆致は、小説家顔負け!

 

説得力のある文体とリアルな体験に、気持ちが軽くなる一冊です。

 

小説が苦手な方にオススメ◎

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